
2006年(平成18年)9月15日
毎日放送ホームページ
アナウンサー室「あすなろ」上に掲載
http://mbs.jp/announcer/meikan/ana_18/
アナウンサー室/加藤康裕
『物語/カブールの幽霊』
四半世紀にわたり戦いが続くアフガニスタン。そこに暮らす子供たちが怖いと思うものの第一位は、爆撃でも兵士でもなく「幽霊」だった。彼らが思う「幽霊」はどんな形をして、どう姿を現わすのか。そして、幽霊は彼らにとってどんな存在なのか。
『物語/カブールの幽霊』と出会ったのは偶然でした。
夏休みで初めて行った軽井沢の「絵本の森美術館」。そこで開かれていたのがカブールの幽霊展。でもタイトルだけではどんな展覧会かわからず、美術館に入っても開催されている場所がわからない。
―さっきから気になるのは
木立ちの中に干してあるTシャツなんだよなぁ。―
それがカブールの幽霊展だったのです。
木から木に渡された洗濯ロープに干されている何枚ものTシャツ。その胸のあたりにプリントされた幽霊の絵。作者はアフガニスタンの難民キャンプで暮らす子供たちでした。
あるTシャツには子供を殺して笑っている女がプリントされ、別のTシャツにはマスクをした男が泣いている子供をさらっていく絵が描かれている。それが「幽霊」とどうつながっていくのか最初はわからなかったけれど、事務所で売っていた絵本『物語/カブールの幽霊』を読んで理解しました。
これらの絵はアフガニスタンで活動するNPO・Like Water Pressがアフガニスタンの難民キャンプなどで暮らす子供たちに描いてもらった500枚の絵の一部です。アフガニスタンでは旧ソ連の侵攻の後、内戦、米軍の空爆など25年以上も戦争状態が続いています。住む家も無く、難民キャンプ以外の世界を知らない人たちも少なくありません。そんな環境で育つ子供たちが見る(という)「幽霊」はどんなものなのでしょうか?
彼らは明確な言葉で説明することは出来ません。しかし絵を見れば彼らの心の状態を感じることができます。いつも紹介している絵本とはちょっと雰囲気は違いますが、是非読んでもらいたい作品です。