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……むかし二人の人間がいた。二つになるとふたりは手で殴りあった。
十二になるとふたりは棒で殴りあいをし、石をぶつけあった。
二十二になると銃でおたがいを射ちあった。
四十二になるとふたりは爆弾を投げあった。
六十二になるとふたりは細菌を使った。
八十二になるとふたりは死んだ。ふたりは並んで墓に埋められた。
百年たって、一匹の蚯蚓がふたりの墓を喰って通ったときには、
ここにふたりの人間が埋められていることには、全然気がつかなかった。
それは同じ土だった。みんな同じ土だった……。
この寓意的な人間の歴史は、
W・ボルヒェルトという人が書いた『リーダーの中にある話』の抜粋である。
1921年に生まれた彼は、12歳のときにヒトラー青年団に入団するが、
まもなくドロップアウトするという経歴をもつ。
やがて、兵役忌避のための故意の負傷をしたとして死刑を求刑されたり、
国家と党に対する誹謗という罪で重禁固刑に服したりした。
そして彼は、こうも書いている。
……あらゆる大陸にいる母たちよ、
世界の母たちよ、
明日もし彼らが、子供たちを
野戦病院のための看護婦と、新しい戦場のための新しい軍人たちを
生めと命じたら、
世界の母たちよ、
そのときはたた一つしかない、「いや」と言うのだ。
母たちよ、「いや」というのだ……。
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コスタス・ヴァッカス

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